年金を受け取っていても大丈夫? 生活保護の仕組み
年金や介護保険との併用も可能
年金を受給している場合は生活保護が受けられないと思われがちですが、必ずしもそうではありません。年金は収入とみなされるので、年金受給額が最低限度の生活水準(市区町村によって異なる)に達しない場合は、生活保護の受給も並行して受けることができます。
また、介護保険も生活保護と併用することが可能です。生活保護を受けている人が65歳以上の高齢者であれば必要な介護サービスを1割負担で受けることができます。この1割負担は介護扶助から支給され、納めなければならない医療保険料は生活扶助から支給されることになります。
資産は全て売却、援助してくれる親族がいる場合は支給対象外?
生活保護は国民の健康で文化的な最低限度の生活を保障する憲法25条に基づいた制度ですが、実際の運用における細かな規定は社会福祉六法の一つである生活保護法で定められており、おおまかに言うと、「所持している資産や能力ほか、あらゆるものを全て活用しても、なお最低限の生活の維持が世帯単位で困難な場合、申請をすれば過去の経歴や困窮の原因を問わず無差別平等に適用される」ということです。
生活保護は資産を保有している場合は受けることができず、預貯金だけではなく土地等の不動産や車などを売却することが求められます。居住の用に供される家屋など、一定の要件に該当する資産については保有が認められることもありますが、積立型の生保なども基本的には解約しなければなりません。
さらに、65歳以上の高齢者や病気などなんらかの理由で働けない場合は別として、働く能力があるにもかかわらず働かない人や、経済的援助を受けられる親族がいる人も支給対象外となります。
単に働きたくないという理由や親族からの援助は受けたくないという理由で生活保護を受けることはできないというわけです。雇用保険や障害者手当等ほかに受けられる扶助がある場合は、生活保護よりもそちらのほうが優先されます。
つまり収入が無い、もしくは低く、ほかに頼る親族も制度もなく、保有している財産全てを売却してもなお最低限度の生活ができないという場合のみ生活保護を受けられます。これが生活保護が「困窮者を救済する最後のセーフティネット」と言われる所以です。
申請の際には受給資格があることを証明するために、生活保護申請書に加えて、資産と収入の申告書、車検証、生命保険の証書等の提出を求められる場合もあるようです。
まずは福祉事務所に相談を
生活保護制度の利用を希望する人は、お住まいの地域を所管している福祉事務所の生活保護担当者に相談しましょう。制度の説明とともに、生活福祉資金、各種社会保障施策などの活用についてアドバイスをもらえます。また申請後は下記のような調査を行い、保護対象か審査をしていく流れとなります。
- 生活状況等を把握するための実地調査(家庭訪問等)
- 預貯金、保険、不動産等の資産調査
- 扶養義務者による扶養(仕送り等の援助)の可否の調査
- 年金等の社会保障給付、就労収入等の調査
- 就労の可能性の調査
もしもの時に活用できるよう、内容や仕組みを正しく理解しておくことが大切と言えるでしょう。
最新更新日 2018.07.11