50代のハリウッド女優と若き恋人との最後の恋を描いた『リヴァプール、最後の恋』
映画『リヴァプール、最後の恋』は、往年のアカデミー賞女優グロリア・グレアムと駆け出しの俳優ピーター・ターナーの恋愛を実話を基に描いたロマンチックな感動作。驚くのは、二人の年齢差が30歳あること! グロリアは50代、ピーターは20代なのです。
グロリアを演じるのは演技派女優のアネット・ベニング。ピーターを演じるのは子役から性格俳優へと成長したジェイミー・ベル。二人の説得力ある演技が、このラブストーリーを美しく優しく盛り上げています。
物語
グロリア・グレアム(アネット・ベニング)は、モノクロ映画時代に人気を博したハリウッド女優。アカデミー賞も受賞した演技派の女優でしたが、ピーター(ジェミー・ベル)がリヴァプールで出会ったときの彼女はすでに過去の人でした。しかし、グロリアは明るくユニークな女性で、ピーターはそんな彼女に心惹かれ、いつしか友人から恋人へ。
やがて二人はニューヨークへと移り住むことになりますが、その地で、ピーターはグロリアに関する2つの真実を知ることになります。彼女が家族と折り合いが悪いこと、そして、もうひとつは彼女が大きな病を抱えていたことです。
恋に生きた女優
ショービジネスの世界で長く活躍することは本当に難しい! グロリア・グレアムもアカデミー賞女優になったにもかかわらず、映画がモノクロからカラーへと変わるときに波に乗れず、仕事が減り、英国の小さな舞台しか活躍の場を得ることができなくなっていたのです。しかし、彼女の素晴らしいところは、人気や仕事を失っても、明るく楽しく日々を過ごしていたことです。本当は辛かったと思うのですが、親子ほど年齢差のある恋人とデートできるくらい、常に堂々としていました。自分への自信、恋愛を謳歌する気持ちなど、彼女は、人生を楽しむ術を知っていたのです。
またグロリアは他人の視線を気にしない、スルーできる強さもありました。実は彼女の恋愛遍歴は華やか。結婚歴は4回で、4番目の夫は2番目の夫の義理の息子で、スキャンダルにもなりました。そんなさまざまな逆風を乗り越えた末にできた最後の恋人がピーターだったのです。
グロリア、癌との闘い
ピーターとの日々は幸福に満ち溢れていましたが、彼女は乳癌になってしまいます。1度は克服したものの、再発。彼女はそのことをピーターに隠したまま、二人は諍いが絶えなくなり別れることに。しかし、その後、彼女は英国の舞台で倒れてしまうのです。
映画はあくまで二人の愛の物語にフォーカスしているので、グロリアの闘病生活を克明に描くことはありませんが、英国で倒れた彼女を支えたのはピーター、そして彼の家族でした。ピーターの家族は本当に心優しくて、息子の恋人に一部屋与えて面倒を見るのです。決して裕福なわけでもなく、広い家に住んでいるわけでもないのに、グロリアを受け入れます。ピーターが献身的な性格なのは、この両親に育てられたからなのかもしれません。
20年前から演じたかったグロリア役
グロリアを演じたアネット・ベニングは20年前からこの役を演じたいと熱望していたそうです。
「私が『グリフターズ/詐欺師たち』(1990年)に出演したときに、似たようなノワールタッチの映画を観ておくように勧められ、グロリア・グレアムの出演作を見ました。彼女はスクリーンで独特の存在感を放っており、彼女を見ていると内面が伝わって来るのです」。
しかし、まだ若すぎたため、20年待ってやっとグロリア役を手に入れることができたのです。また彼女はグロリアとピータ―の恋愛について、こう語っています。
「グロリアとピーターの関係は実にユニークでした。彼女にとってピーターは、いちばんやさしくて愛に溢れた恋人だったと思います」。
恋に生きたグロリアが最後に選んだ男性は、これまでお付き合いした男性の誰よりもやさしい男だった。きっとグロリアは「最後に出会った恋人があなたでよかった」と思ったでしょう。またピーターも彼女を支えることが愛の証だったのではないかと。これぞ大人のラブストーリー! 本作はご夫婦で見るのもいいかもしれませんね。