かっこよい人

驚異の70才 日々新しいストレッチ法を生み続けているソネジュンコさん

その美しいボディラインと美貌は、若々しくとても70歳とは思えない。年を取ることが楽しいと若い人に伝えるために、日々新しいストレッチ法を生み、若さを保っている。身体は何歳からでも変えられるというボディマイスターのソネジュンコさんは、波乱万丈の人生を送りながら次々に波を乗り越え、笑い、希望をいだいて突き進んできた。歳をとることが楽しみだという彼女に人生の楽しみ方を語ってもらった。

ソネジュンコ
1952年生まれ。ボディマイスター。のべ3万人以上を施術し、独自のストレッチエクササイズを考案し続けて20年。筋トレなし、ハードな運動なしのフィットネスでボディラインを作る「ソネワークス」を構築。「美しくやせる!ポールストレッチ」「30秒でやせる!ゆるボールダイエット」を上梓。ミセスグローバルアース ビューティーキャンプ講師。
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出迎えてくれたソネジュンコさんの立ち姿に思わずくぎ付けになった。ストレッチ用のボディラインがくっきりはっきり出るファッションで登場したソネさんは、すばらしいプロポーションだ。とてもとても御年70歳には見えない。めぐまれた専業主婦から一転してどん底になったソネさんだが、波乱万丈の人生を常に楽しんでいる。ボディマイスターのソネジュンコさん70歳に若さを保つ秘訣、人生の楽しみ方を聞いた。

順風満帆のはずが、いきなり波乱万丈に

今のボディマイスターのお仕事をする前は専業主婦だったそうですね。

ソネ
そうなんです。けっこう、順風満帆な青春時代で、大学を出て25歳で絵に描いたような結婚をして、子どももできて専業主婦をしてたんです。でも、40歳の時に離婚したの、たった12年間の結婚生活。でも元夫とは、今は仲のいいお友達ですよ。私はすぐに軌道修正するんです。方向転換できるの。執着心がないんです。だから離婚したのかな。

大変な時期もあったと言いながらも豪快に笑いとばすソネさん。こっちまでなぜか笑顔にさせられる。常に元気のおすそ分けをしてくれているのではないかと思った。ソネさんの人生が激変していくのは、離婚後である。離婚後、実家で小さなサロンを開いていたソネさんだったのだが、バブルが崩壊。順調そうに見えた父親の事業が倒産。160平米あった実家はなくなり、45平米の古い賃貸マンションへ引っ越すことになった。

ソネ
このときは、笑い転げた!なんにもなくなったでしょ。私は試されていると思ったの。実家の甘い汁を吸ってたんで大打撃でした。実家で小さいサロンをしていたのもできなくなったんで、自宅も仕事場もなくなったんです。姑とは仲が良かったもんで相談したら「あんたが頑張らんでどうするの」って叱咤激励されて、お金を貸してくれました。そのとき、私もこういうカッコいい女性にならないとあかんと思いました。資格もないし、働いたこともなかったんで、スーパーのレジ打ちとかして稼がなあかんと思ったんですよ。

なんにもなくなってしまったときに、笑い転げたというのだからすごい。正直、打ちひしがれたりしなかったのだろうか?

ソネ
何にもないから一から創作できる、これからは何でも自由に始められるからおもしろいと思ったんです。自分の実力が発揮できるからうれしかったんですよ。資格も何もないからさあどうしたものかと考えた時、昔から人の身体を触るのが好きで、触ると悪い部分に手が行く感じがあったんです。でもずっと封印していたんです。でもふわっと、そのことが浮かんできました。人の体を触る仕事を探そうと、まったく知らない整骨院に飛び込みで入って雇ってもらいました。最初は、施術のフォローとか助手みたいな仕事をしていたんですが、すぐにナンバーワンになったんです。

すぐに才能を発揮し、ナンバーワンになったことで手ごたえを感じ、整骨院で1年間働いた後、当時として珍しかった整体の仕事を始めた。

ソネ
タウンページに広告出して整体の仕事をやり始めたんです。でもすぐにお客さんもついてきたんですが、施術をしてまたしばらくしたら私のところに来て施術。また悪くなって施術、その繰り返しになるのが納得いかなくなったんです。自分の身体を自分で治せるように、自分でやる方法を指導できないかと方向転換しました。自分自身もエステに行ったりなんかお金がないから到底できなかったですし、自分の身体を自分でメンテナンスしてたので、自分でできるセルフストレッチを指導することにしました。

最初は風俗に間違えられたセルフストレッチ

今でこそ、ストレッチ専門のところはたくさんあるが、当時はストレッチを専門に指導するスタジオは、まだ世間に認知されていなかった。そのためとんだハプニングも多発したそうで…

ソネ
最初は勘違いした男性がきて、パンツ脱ぎ始めたりして、大変でした。もちろん、丁寧にお断りしました。今は女性限定です。ストレッチの指導をしながら考え付いたのが、ポールストレッチです。ポールを補助的に使うことで可動域が飛躍的にアップすることに気づきました。ヒントになったのは子どもがチャンバラに使うプラスチックの刀だったんです。材質をいろいろ調べました。手触りとかも考慮していきついたのが「鉄」でした。「鉄」は熱伝導率がいいので握っていると電気が流れる感覚がわかります。

ソネさん考案の「ポールストレッチ」は無理なくできるストレッチだ。ソネさんのところでストレッチを実践している方たちは何歳くらいの方が多いのですか?

ソネ
50代が圧倒的に多いです。あと60代。30代、40代の方もいます。みんな体型だけでなく、気持ちもすっごく変わっていきます。

頑張るのを辞めて手放し、方向転換

やっと、レッスンが軌道に乗り始めた頃、今まで風邪ひとつ引いたことのなかったソネさんの身体に異変が起きた。「子宮頸がん」の発覚である。発見したときは、すでに末期の一歩手前まで悪化していた。このときばかりは、ソネさんも心が折れそうになったという。

ソネ
たぶん、病気は経営者の器じゃないのにスタジオを大きくしようと、自分に重しをかけていたのが原因かも。でも「こんなことしてる場合じゃない」と切り替えて、いろんなことを辞めて、辞めて、手放しました。頑張るのを辞めて方向転換しました。

ソネさん61歳の時のことである。身軽になろうと決め、病気も半年で治したそうだ。
普通、なかなか60歳を過ぎてから方向転換ができないものですが、ソネさんは違った。その後も試練はやってきた。コロナ禍である。順調に行っていたスタジオも多くの生徒を集めることは難しくなった。そこで考えたのがオンラインだ。

ソネ
今まで編集とかまったくしたことがなかったんですが、オンラインの講座をすることに決めてから、独学で自分で編集を覚えてしています。自分でもおかしいんちゃうかなって思うくらい。この好奇心が元気になる源です。

どんなときにでも好奇心と探求心で、前に進み続けているソネさんに、自分の身体に向き合うために、誰もができそうことを教えてもらった。

ソネ
朝の自分を毎日チェックするのが大事です。自分の感覚でいいので、肩がおかしいと思ったら、肩を動かしてみるとか。朝のトイレで足腰の感覚とか見てください。病院の数値だけでなく、自分の身体を意識するのが大事です。年を取れば体型がくずれるのは仕方がない。自分の身体を作るのは自分しかいない。自分でメンテナンスするしかないんです。自分に向き合って変えていくと絶対変わります。身体が変わると気持ちも前向きになります。20代は若さがすべてだけど、40代くらいからきれいだけではダメになってくる。普段の生活が顔に出てきます。才能こそ、自分で作るもんです。結果は後からついてくる。

70歳目前で美を競うコンテストに出場

美を競うコンテストに出場されたそうですが…

ソネ
ミセス・グローバル・アース(Mrs.Global.Earth)に出場しました。きっかけは、スケベ根性。60歳以上の部があったので、私はこれからはシニアが美しくなるのが求められる、私の出番やん。って思って体験してみたんです。今まで全く知らない世界だったんですけど、体験したらわかるかなって思ってエントリーしました。ドレスを着たり、ウォーキングとかあったんです。

出てみて分かったのは、どんなに顔がきれいでもステージに立って輝けないとダメ。ステージを楽しめないとダメって。

若い頃もコンテストの出場経験があったのかと思ったが、68歳にして初めて出場したコンテストだったとのこと。予選会は家族にまったく内緒で出場し、後から驚かせてやろうと思ったそうだが、誰も驚かなかったそうだ。

夢があり過ぎる70歳

これからやってみたいことはありますか?

ソネ
夢はいっぱいあるんです。シニアを勇気づけるようなことをしたい。愚痴とか過去の栄光ばかり言っていては元気になれないです。ネットとか遠ざける人もいますが、そこは踏み込んでいかないと若い世代に対抗できないです。自分の体力を維持したままこの姿を見て欲しいって思っています(ほんまに若々しくおキレイです)。「齢を重ねるのはこんなに楽しい」ということをみんなに知らせたいんです。シニアには夢を見させてあげてお金を使わさないとあかんと思います。嬉しくなってお金を使えるようにならないと、老後の不安ばかりでは、若い子もかわいそう。色んな事を抱えながらヘビーな毎日ですけど、1個だけデフォルメして「おいしいご飯を作って食べよう」、それだけでも幸せな気分になります。そりゃあできたら若返りたいけど、それは無理。今は年を取ることがすっごく楽しいんです。

取材中、ソネさんは辛い体験もくったくなく笑い飛ばしながら話してくれました。ダイヤもブランド品も売り飛ばしたというソネさん。お金をかけなくても美しくなれる秘訣を教えてくれました。元気のおすそ分け、ありがとうございました。

スタジオ ソネ

取材・文=湯川 真理子

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