定年後の働き方は?シニアも手に職を
定年後の働き方を考え、スキルアップを
日経新聞が60歳以上の500名を対象に行ったアンケート調査によると、お金について「60歳までにやっておけばよかったこと」のトップ3は「貯金」、「年金で暮らせるよう生活費の見直し」、「退職後の働き方を考え、スキルアップ」です。
退職後も生活費を稼げるよう、手に職をつけることは重要だと感じているシニアは多いようです。手に職をつける方法として代表的なものの一つは資格の取得です。
資格と一口にいっても多種多様あるので、年齢に関係なくシニアが挑戦できる資格も多数あります。しかし、シニアが資格の取得を考える際に気をつけなければならないのは、単に資格を取得しただけでは再就職や高収入に結び付くとは限らないということです。
組織で働くにしても独立開業するにしても、資格取得後に活躍するためには資格にプラスしてそれまで培ってきた経験や人脈が必要になってくる場合が多いのです。
社会保険労務士、中小企業診断士、公認会計士など、「士」がつく資格はつぶしが利き直接就職に結び付くので人気ですが、これらの資格を取得したとしても全くの未経験であれば年齢が若いほうが就職には有利です。
これまでの仕事で得た経験や知識、人脈が活かせそうな職業に関連する資格を取得するほうが、定年後に活躍できる可能性が高まります。特に、独立・開業を目指すのであればこの点は是非とも押さえておきたいポイントです。
未経験の分野はNG?シニアにおすすめな資格
もちろん、未経験の分野が全てNGというわけではありません。例えば、ビルのメンテナンス業務は未経験のシニアでも比較的求人が多く、定年退職後の再就職先として人気の職種の一つです。電気設備や空調設備の維持管理が行える資格を取得すれば、より就職の幅が広がり、給与も資格手当が上乗せされることもあるでしょう。
建築物環境衛生管理主任技術者、第3種電気主任技術者、エネルギー管理士など、ビルのメンテナンス業務に関連する資格は数が多く、難易度にも差があり、なかには実務経験が必要なものもあります。
取得する手段としては、通信講座の利用や独学が挙げられますが、各自治体が設置している職業能力開発校に通うのも一つの手です。特に離職している人の場合、ほぼ無料で授業が受けられることに加え、職探しの際には支援が受けられるのでおすすめです。
「職人」を目指すという選択肢も
手に職をつけるという意味では、職人を目指すという選択肢もあります。こちらも和紙職人や陶芸家のような伝統工芸の分野から、柔道整復師、カイロプラクターなどの医療分野まで幅広くあります。
技術力、センス、創意工夫が要求され、活躍できるかは腕次第といったものも多いですが、職種によっては高度な技術を身につければ定年を気にせず一生働くことも可能です。
かつては職人になるために師匠のところに住み込みで弟子入りする、というのが普通でしたが、近年では職業能力開発校や民間の職人養成学校で技術を習得することが可能です。
もちろん技術を習得するには若いほうが有利ですが、料理人や植木職人などは未経験のシニアでも目指すことは可能です。仕事をしながら専門学校に通い、調理師の免許を取得した後に脱サラ、数年の修行を経てリゾート地でフランス料理店を開業、といった例もあります。
ただし、最初の見習いのうちは安月給のうえに長時間労働といった労働環境が悪い職場で働かなければならないことも多く、中途半端な気持ちだと修行に耐え切れずに途中で挫折してしまう人もいるようです。
また、職人の仕事のなかには単純作業を決められた通りに淡々とこなさなければならないものも多いので、目指すのであれば事前によく調べ、本当に自分に合っているかを考えたうえで決断したほうがよいでしょう。
定年前に準備を
資格を取るにせよ、職人を目指すにせよ、手に職をつけるためにはある程度の期間や努力が必要になるので、定年を迎えてからではなく、50歳ころから準備を始めておくのが理想です。
最新更新日 2018.05.11