定年後の再就職にも有利?建築物環境衛生管理技術者とは

目次

需要も多く、シニアにおすすめな「ビル管」

転職や再就職をする際に取得しておくとよい資格は数多くありますが、なかでもシニア世代におすすめなものの一つが建築物環境衛生管理技術者です。

別名「ビル管」、「ビル管理技術者」とも呼ばれ、仕事の内容は一言でいえば、ビルを安全かつ衛生的に利用できるように管理監督することです。

具体的にはビル設備における維持・管理計画の立案・実施、測定や検査の実施と評価、問題点の改善案作成と意見の申請などです。

なぜシニア世代におすすめなのか

この資格がなぜシニア世代におすすめなのかというと、ひとつはコミュニケーション能力が必要とされるからです。ビルを安全かつ衛生的に運営するためには、空調、給水、排水、といった設備の点検や清掃、検査を行ったり、害虫や害獣の駆除などを行ったりする必要があります。

これらの実際の作業は整備や清掃を専門としている外部会社が行うことが多く、ビル管理技術者はこれらの会社と契約や交渉を行うことになります。

さらに、ビルの利用者からのクレーム対応や、何か事件があったときには警察の対応もしなければなりません。ビルの老朽化が進行している場合のリフォームの申請や、問題のある入居者がいる場合の退去申告をオーナーにしなければならないこともあります。

このように多方面の人とやり取りをしなければならないので、社会人経験を積み、交渉力や対人関係のスキルを身に着けた人の方が仕事に馴染みやすく、ビルを管理監督する「責任者」という立場でもあるので、若者よりもある程度年配の人の方が適しているという事情もあります。

都心の方が求人も年収も充実?営業や接客業出身の人も

ビル管理技術者として活躍している人のなかには、建築物のメンテナンス関係の仕事をしていた人だけではなく、営業や接客業など日常的に人と接する仕事の経験者もいます。

ビル管理技術者は面積3,000平方メートル(学校の場合は8000平方メートル)の特定建築物や、複数の事務所が入っているオフィスビルには選任義務があるので需要が多いというのもおすすめできる理由の一つです。一般的に都心の方がビルの数が多いので、求人も多く年収も高額のようです。

資格を取得する2つの方法

  • 建築物環境衛生管理技術者試験を受ける

まず試験を受ける方ですが、こちらは年1回実施される建築物環境衛生管理技術者試験に合格しなければなりません。

試験は東京、名古屋、大阪などの大都市で実施され、受験料は13,900円です。年齢制限がないので何歳でも受けることができますが、建築物の維持管理業務経験が2年以上でないと受験資格がありません。

試験科目は、建築物衛生行政概論、建築物の構造概論、建築物の環境衛生、空気環境の調整、給水及び排水の管理、清掃、ねずみ、昆虫等の防除の7科目で、合格基準は各科目40%以上かつ、総合で65%以上とされています。

出題範囲が広く、科目ごとの合格がないので、一度に全ての科目の勉強をしなければなりません。とはいえ、合格率は17%~23%と、他の国家資格と比較して低いというわけではなく、難易度は普通レベルとされています。

独学で合格することも可能です。効率よく勉強したければ通信教育を活用するのも一つの方法です。公益財団法人日本建築衛生管理教育センターのホームページで過去問が閲覧できるので、受験を検討する際には一度見ておくとよいでしょう。

  • 講習会に参加

もう一つは、日本建築衛生管理教育センターが主催する講習会に参加する方法です。受講科目は試験と同様の7科目で受講時間の合計は101時間程度、期間は3週間程度です。

こちらも主要都市でしか開催されず、受講費用は108,800円と少々高額です。最後に修了試験もあります。この講習会を修了すると修了証書が交付され、ビル管理技術者になることができます。

なお、この講習会も誰でも受講できるというわけではなく、学歴もしくは資格と実務経験が必要になります。学歴や保持している資格によって必要な実務経験数が異なり、細かく11個に区分されています。

例えば大学の理系課程や防衛大学校の理工学課程、海上保安大学校の卒業者は1年以上、高等学校・中等教育学校の工業に関する学科を卒業した人は5年以上の実務経験が必要です。

資格についても同様で、第一種電気主任技術者免状や第二種電気主任技術者免状の取得者は1年以上の実務経験が必要ですが、医師や一級建築士の資格を取得していれば実務経験は必要ありません。

講習会の開催地や日程は日本建築衛生管理教育センターのホームページで確認することができますが、定員が100名と決まっており、人気の受講場所はすぐに締め切りとなってしまうので注意が必要です。

試験と講習会、どちらがよいか

では、どちらの方法がよいのかというと、実際は講習会を受講するよりも試験を受けて取得する人のほうが多いようです。講習会は受講するまでのハードルが高いうえに、日程や時間が固定されているので都合のよい時間帯に受講することができないというのが理由として挙げられます。

取得するまでに時間はかかるかもしれませんが、働きながらすき間時間を利用して独学で勉強できる試験のほうが費用も安くていいのかもしれません。

逆に、例えば理系の大学を卒業した後、映画館、デパート、ホテルなどの特定建築物で環境衛生維持管理の仕事をしている都心在住者は講習会を受講して取得したほうが良いかもしれません。

このように取得するには時間や労力が必要ですが、専門的な技術力や知識が身に付きますし資格の知名度も高いので、保持していれば再就職や転職の際には大いにアピールすることができるでしょう。

最新更新日 2018.05.25

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