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60代以上も大活躍! 家事代行・ベビーシッターマッチングサービス 「キッズライン」サポーター 江上美佐子さんインタビュー

「キッズライン」は「家事代行やベビーシッターのお仕事がしたい! 」というサポーターと、「家事代行やベビーシッターを依頼したい! 」というユーザーをつなぐオンラインマッチングサービス。ユーザーは自宅のある地域や、依頼したい日程、子供の年齢などから条件に合うサポーターをスマートフォンで探し、直接やりとりした上で予約。サービス終了後にオンラインで決済するという仕組みで、忙しいママたちに広く支持されています。 サポーターは週1回から好きなスケジュールで働けて、時給も1000円から自分で決めることができます。サポーター登録しているのは大学生から主婦、保育士や看護師などの資格をもった人までさまざま。まさに「助けたい人」と「助けを必要としている人」が出会える場所といえるでしょう。

全国で活躍するサポーターは約3800人。今回はその中から、60代でサポーターをはじめた江上美佐子(えがみ みさこ)さんに密着取材しました。仕事についてのお話はもちろん、ユーザーのお子さんのお迎えや夕食づくりなどの様子もレポートします。 取材の途中で、ユーザーのKさんが帰宅。Kさんはキッズラインのスタッフでもあり、実際に50代60代のサポーターさんにも依頼したことがあるママです。Kさんにはママとして、ユーザーとしての立場からお話を伺いました。

江上 美佐子(えがみ みさこ)さん
自身の長男と長女、男の子と女の子の孫を育てた経験を生かそうと、2018年末ごろ「キッズライン」のサポーターに登録。保育園やおけいこの送り迎え、食事づくりのほか、ママや子供たちに料理やお菓子づくりを教えるなど、食育も積極的にサポートしている。趣味は散歩、フランス刺繍、観劇など。
目次

子育て・孫育ての経験がそのまま仕事に

まずはこのお仕事をはじめられた経緯から教えてください。

江上さん
はじめたのは7カ月ほど前です。娘が「キッズライン」にユーザー登録していて、「ママこんなお仕事があるわよ。向いてるんじゃない? 」と勧めてくれたのがきっかけでした。
自分なりに仕事内容を調べてみて、翌日にはサポーターの登録説明会に参加しました。一度やろうと決めると早いんです(笑)。そこでの面接を経て採用していただきました。
そのあと研修がありましたが、教わったのはごく基本的なこと。お料理は何品つくらなければならないとか、お片付けはこうしなさいといった厳しいマニュアルがあるのではなく、親御さんからのご要望をお伺いして、相談しながら家事をさせてくれるという印象でした。

実際にされているお仕事はどんなことですか?

江上さん
サポーターの仕事には料理から掃除、洗濯、お子さんの送り迎え、ママの産後ケアなどいろいろな分野がありますが、その中から自分で受け入れ条件を選べるんです。私は料理や送り迎え、2時間までのベビーシッターをお引き受けしています。エリアは自宅の最寄り駅から30分圏内を優先させていただいたり。こんなふうに自分にとってやりやすい条件を設定できて、その条件に合ったユーザーさんから依頼されるので、無理なく働けるんですよ。

17:30 スーパーで食材を調達してから、2歳の女の子を保育園にお迎えに。道草しながらゆっくり帰ります。

江上さんはもうすぐ70歳とか。つまり60代後半か新しいお仕事をはじめられたわけですね。それまでお勤めなどの経験はあったのでしょうか?

江上さん
着物好きが高じて、40代から花嫁介添人をしていますが、それ以外はずっと専業主婦です。ごはんをつくりながら息子と娘を育て、娘に子供が生まれてからは孫を育て……会社勤めのキャリアもないですし、ほとんど主婦としての経験しかないんですよ。
ただ、家事代行やベビーシッターの仕事なら、その経験を生かせるかなと思ったんです。特に2人の孫を世話したのは大きかったですね。娘がものすごく多忙だったので、5年ほど保育園へのお迎えや食事づくりをサポートしていたんです。それがそのままこの仕事になったようなものですね。

17:45 ユーザーさん宅に到着。まずは洗面所に向かい、一緒に手洗いしてからお部屋に入ります。

働くママたちを自分なりにサポートしたくて

江上さん
娘が仕事と子育てに奔走している姿を見てきたから、働くママの大変さも手に取るように分かります。そういうママたちを私なりにサポートできれば、という気持ちもありました。実際、ママたちから子育てのお悩みを伺うことも多いんですよ。私が料理をしている間、ずっとそばに立ってお話をされたり……
最近の若いママたちは、あまり本音を話す機会がないのかしらね。お話を聞いていると、ときどきそう感じるときがあります。ご家族やお友達には話しにくいことが、私たちサポーターにはかえって本音で話せるのかもしれません。

お子さんだけでなく、ママのケアもお仕事の一環なんですね。ユーザーのKさんにもお伺いしますが、江上さんのような60代のサポーターさんについて、どんな印象を持たれていますか?

Kさん
やっぱり人生経験が豊富なので、どんなこともどーんと受け止めてくれますよね。落ち着いたかたが多くて、いつお願いしても頼りになるという安心感があります。
私のような子育てビギナーのママは、人に頼るのに慣れていないんですよ。もし身近にサポートしてくれる人がいても、どこまでどんなふうに頼めばいいのか分からなくて、結局、自分一人で抱え込んでしまう。でも、「キッズライン」から来てくれる60代のサポーターさんは、ほとんどのかたが子育てのベテラン。頼む側が慣れていなくても、お願いしたいことをすんなり理解してくださいます。
子供の気持ちにスッと寄り添うのも上手だなと感じます。うちの娘を見ていると分かりますが、子供って共感してくれる人に懐くんですよね。教えよう、しつけようとされるより、「きれいだね」「楽しいね」と共感してもらうほうが嬉しいらしくて。普段お孫さんと接しているサポーターさんは、そういうコミュニケーションの達人。私も見習いたいなと思いながら眺めています。

18:00 夕食づくりがスタート。この日のメニューはタルタルソースを添えた鮭のムニエル、ポテトサラダ、野菜スープ。てきぱきと調理が進んでいきます。

「おいしい! 」のひと言が、なによりのご褒美

料理の代行をするとき、よくつくるメニューはありますか?

江上さん
ふだんの夕食を頼まれるときは、つくり慣れたお惣菜がほとんどです。唐揚げにハンバーグ、カレーやシチュー、スープ、サラダやおひたし……お子さんのいるお宅では、孫たちに喜ばれたメニューが参考になりますね。
もちろん最初はユーザーさんにリクエストを伺って、食べ物の好き嫌いやアレルギー食品などを献立に反映させますが、何回かサポートするうちにそのお宅の好みが分かってきます。同じメニューを何度もリクエストされると、「ああ気に入ってもらえたんだな」と感じたり。最近大好評だったのは、アジの竜田揚げ。青魚の苦手な子がパクパク食べてくれました。

家事代行のお仕事では、初めて訪ねるお宅で調理をされますよね。慣れないキッチンに抵抗はありませんか?

江上さん
最初はやっぱり戸惑いました。自宅以外のキッチンなんて、親戚か友達の家くらいしか立ったことがないですから。伺ってみたら調理道具や調味料の場所が分からない、お鍋が1つしかない、なんてこともたびたび。でも、「キッズライン」にはサポーターを支える仕組みが整っていて、困ったときは親御さんにメッセージで相談できるんです。それでたいていのことは解決しますね。

18:30 Kさんが勤務先から帰宅。夕食ができるのを待つ間、リビングで親子のひとときを楽しみます。

私自身、回を重ねるうちに慣れましたし、作業しやすいように自分でも工夫するようになりました。例えばポテトマッシャーや泡立て器、揚げ物用のバットなどはお持ちでないお宅が多いので、持参するようにしています。だから私のバッグは重くて、いつも4kgくらいあるんですよ。

それをお仕事のたびに持ち歩かれているんですね! つらいなと感じることはありませんか?

江上さん
健康体で歩くのが好きなせいか、まったく苦にならないんです。仕事のおかげで行ったことのない街にあちこち行けるのが、かえって楽しいくらい。
あとは子供たちから「おいしいね! 」のひと言が出ると、うれしくて疲れも吹き飛びます。じつは私、夫や子供たちには料理をほめられたことがほとんどないんですよ。

そうなんですか!? 「キッズライン」のユーザーレビューには「お料理がおいしい!」というコメントがたくさん投稿されていますが……

江上さん
食事をおいしくつくるのは、私にとって当たり前。家族にとっても当たり前なので、取り立ててほめたりしないんです。カレーはいつも大人向きと子供向きの2種類をつくりますし、ホワイトソースもドレッシングも手づくりですが、自分では手間をかけていると思っていないの。それなのに、若いママたちには「そんなに手間をかけるんですか!?」と驚かれます。 最初は驚かれたこちらが驚いてしまいました。こんな普通のことがこんなに喜んでもらえるの!? って。

19:00 夕食が完成。さっそく2人で食卓につきます。「仕事から帰ってすぐにあたたかいごはんを食べられるのは幸せ」とKさん。

Kさん
江上さん世代のサポーターさんたちは、お料理の上手なかたがほんとうに多いんです。今日のレシピもタルタルソースから手づくりでしょう? 私たちにはとてもできません(笑 )。でも、子供に食べさせるものを一からつくってくれるのは安心ですし、とても贅沢なこと。そしてなにより、手間をかけてくださっている分だけ、おいしいんですよ!

江上さん
その「おいしい! 」が一番のやりがいなの。小さな男の子から「どうしてそんなに料理が上手なの? 」と聞かれたときのうれしさは忘れられません。ご主人にも料理を気に入ってもらえて、「家に帰るのが楽しみになりました」なんて言っていただくと、この仕事をはじめてよかった! と実感します。

できたてのおいしいごはんに、思わず笑顔がこぼれます。お子さんは大好きな野菜スープをおかわり。

専業主婦は経験のかたまり。誰かのために役立てて

ご自身にとってはごく自然なことも、世代や家庭環境が違うと驚きの対象になるんですね。そういう同世代のかたは多いのではないでしょうか?

江上さん
きっとそうだと思います。「私はずっと主婦だったから、なんの取り柄もないわ」なんて思っているかたがいたら、ほんとうにもったいない! 家事も子育ても山あり谷ありですから、それを乗り越えてきた経験は、かならず誰かの役に立つはずです。

19:30 調理器具を片づけて、この日のサポートは完了。ゴミの分別方法などもかならず確認するそう。

ただ、必要としている人と出会うのが難しい。だから「キッズライン」のようなサービスがもっと広まればいいなと思います。60代、70代のかたも、体さえ健康なら、ぜひこういうお仕事にチャレンジしてみてほしいですね。今はスマートフォンを使っている人も多いですし、最初は身近な若い人に教えてもらえばいいんですから。
家でじっとしているのが好きなかたにはお勧めしないけれど(笑)、頑張っているママや子供たちに接していると、こちらまで元気になりますよ。それにいつもの手料理を、満面の笑顔で「おいしいね! 」と言ってもらえるんですから。

調理の手際のよさはさすがプロ! と感じさせてくれた江上さん。いっぽうで、お子さんと接しているときの笑顔からは、やさしい「おばあちゃん」の一面も垣間見えました。家事が好き、子供が好きな人なら、年齢を問わずにチャレンジできる「キッズライン」のサポーター。「私にもできるかも?」と思ったら、ぜひ一度チェックしてみては。

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取材・文=後藤 由里子、写真=納谷 陽平

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