再雇用後に減額した賃金。保険・年金でまかなえる?
再雇用の賃金の仕組み
定年退職して再雇用後の給料はどうなるのでしょうか? 退職前の給料と同じとまではいかなくても、ある程度の収入は欲しいものです。
再雇用では減給の可能性もあり、そのため国からの給付金を受け取れる仕組みが整っています。この仕組みを「高年齢雇用継続給付」といい、また、働きながら年金を受け取る「在職老齢年金」という制度もあります。
再雇用後の生活は、賃金と給付金と年金から成っています。賃金が高すぎると給付金が支給されなかったり、もらえるはずの年金がもらえなかったりするので、賃金設定は慎重にすることをおすすめします。
「高年齢雇用継続給付」「在職老齢年金」とは
-
雇用保険の「高年齢雇用継続給付」
「高年齢雇用継続給付」とは、再雇用の賃金が60歳時の75%未満になってしまった場合に、最大で賃金額の15%が支給される制度です。この給付金を受けられる条件は2つあります。
- 60歳以上65歳未満の一般被保険者であること。
- 被保険者であった期間が5年以上あること。
ただし、支給要件に下記項目の制限があるため、再雇用後の賃金が高額だと給付の対象とならない場合があります。
- 支給対象月中に支払われた賃金額が、支給限度額(※)未満であること。
- 申請後、算出された基本給付金の額が、最低限度額(※)を超えていること。
- 支給対象月の全期間にわたって、育児休業給付または介護休業給付の支給対象となっていないこと。
(※)この金額は、「毎月勤労統計」の平均定期給与額により毎年8月1日に改定されます。
給付金を受け取けとるためには、支給要件に合わせた賃金の設定をしてもらうことが大切です。
-
厚生年金の「在職老齢年金」
厚生年金の在職老齢年金とは、厚生年金保険に加入し、働きながら老齢厚生年金を受け取れることができる制度です。この制度でも、再雇用の賃金が高いとせっかくもらえる年金が停止されてしまうので注意が必要です。
60歳以降、65歳以降も考えておく
上に挙げた2つの制度を見てわかるように、60歳以降も働きながら給付金や年金を受けようとする場合は再雇用の賃金をあまり高く設定しないほうがいいといえます。
さらに、65歳を過ぎても最適賃金がもらえるようにと考えるのであれば、65歳からもらえる年金と再雇用の賃金のことを考えておくことも重要となってきます。しかしその計算はかなり複雑で、厚生年金法や雇用保険法、労働法などに精通することが求められるため、自分で計算するのは困難といえます。
思い切って自分で社会労務士の資格勉強をするか、経験を積んだ信頼できる社会労務士の方に相談してみることをおすすめします。60歳からの再雇用後の手取り金額をシミュレーションして、老後の計画をしっかりと立てておきましょう。
最新更新日 2018.07.03