労働者の10人に1人はシニア層! 高齢者雇用のメリットと課題
労働者の10人に1人は65歳以上
総務省統計局の発表によると、日本の高齢者人口は平成28年の時点で3461万人にのぼり、過去最高となりました。同時に伸び続けているのが高齢者の就業者数で、実に730万人が労働力として日本経済の一端を担っています。就業者総数に占める高齢者の割合は11.4%、労働者の10人に1人は65歳以上という計算になります。
背景には高齢者の体力や健康状態の向上・改善という喜ばしい理由のほか、年金受給年齢の引き上げ、それに伴う定年制の見直しや不況による経済不安などの影響が考えられます。
助成金やイメージアップなど…シニア雇用のメリット
そんななか、高齢者の雇用に力を入れる企業は数多く存在します。特に中小企業でのシニア雇用は政策によって後押しされている面があり、採用企業は国や地方自治体によって定められた各種助成金制度の対象となることがあります。
しかしシニア雇用における恩恵はそれだけにとどまりません。そもそも長年の社会経験で培われた高齢者特有の能力や特性には、「プロフェッショナルな仕事」として幅広いニーズがあります。
また、専門知識や熟練した実務処理能力ばかりを指すとは限りません。「シニアクルー」「モスジーバー」、どのような意味かご存知でしょうか。前者はマクドナルド、後者はモスバーガー、誰もが知る大手ハンバーガーチェーンで働くシニア従業員のことです。接客において温かい印象を与えるシニア従業員に好感を抱く顧客は多く、SNSでも注目を集めています。
大企業にとってシニア就労希望者の受け入れは、社会的責務を果たすという意味合いも持ちますが、それ自体が企業のイメージアップにつながるという相乗効果も見逃せないメリットです。
働く側としての現実は…
それでも働くシニア側としては給与や就労内容が希望する水準に届かず、制度が不十分として捉えられがちです。
企業側の人員コスト管理やリスク回避として、加齢による心身の衰え・仕事量の低下を鑑み、低賃金な単純労働を割り振るケースがしばしば見受けられます。後進の育成に携わったり、アドバイザーとして知恵を授けたりという理想的なポストに就ける人は、現実にはほんの一握りなのです。そのため、能力や経歴に自信のある人ほど再就職に二の足を踏むのは、致し方ない面もあるでしょう。
しかし、未経験の接客業や手ごたえのなさそうな軽作業であっても、始めてみれば思わぬ適正が眠っているかもしれません。意外なところでは、60代・70代で活躍する介護スタッフは増加傾向にあり、超高齢化社会を支える柱となっていくことが予想されています。
シニア採用とひとくくりにせず、個々の能力に合わせた再就職の選択肢を用意することは、今後の企業や社会の課題です。とはいえ、まずはあなたの柔軟な気遣い、丁寧な仕事ぶりを求めている場所に飛び込んでみてはいかがでしょうか。
最新更新日 2018.07.10