年金受給の仕組みは?
年金を支給してもらうには年金請求が必要
老齢厚生年金の受給開始年齢が段階的に引き上げられたことはご存じの人が多いと思いますが、年金についてはこのほかにも知っておきたいことがいくつかあります。
そのなかでまず挙げられるのは年金受給の手続きについてです。現在の公的年金制度の下では、昭和36年4月2日以後に生まれた男性および昭和41年4月2日以後に生まれた女性の年金支給開始年齢は65歳と定められていますが、65歳になったからといって自動的に口座への振り込みが開始されるわけではありません。
支給を開始してもらうには支給開始年齢に達する3カ月前に日本年金機構から郵送されてくる「年金請求書」とともに、戸籍謄本や住民票などを用意しておく必要があります。
これらの書類一式を年金事務所または街角の年金相談センターに送付することで、はじめて支給開始となります。必要な書類については日本年金機構のホームページに掲載されているので、事前に確認しておいたほうが良いでしょう。
2カ月に一度振り込まれる生活に慣れることが大切
また、支給日も知っておきたいポイントの一つです。知らないとなんとなく毎月25日前後に振り込まれるのかなと思いがちですが、年金は支払い月が決まっていて、毎年偶数月(2月、4月、6月、8月、10月、12月)の15日、15日が土・日・祝日の場合はその直前の平日に振り込まれます。例えば2月には1月分と12月分、8月には6月分と7月分の2カ月分が一度に振り込まれるというわけです。
アメリカをはじめ海外では、毎月支給される年金制度の国が多いのですが、日本の場合、事務手続きの簡素化を図るという理由から2カ月に一度支給されるという仕組みになっています。
しかし、家賃や公共料金の引き落としはそれまで通り月一回行われるので、大切なのは会社員のように毎月決まった日に給料が振り込まれる生活をしていた人は、2カ月に一度年金が振り込まれる生活に慣れる必要があるということです。
そうしないと、必要以上に貯蓄に回してしまったり、使い方のペースがつかめず、支給された月に使い過ぎてしまったりということになります。
また、年金のみで生活をする場合は当然ながら賞与は出ないので、賞与で月々の生活費の不足分を補う、高額な買い物をボーナス一括払いでする、賞与を旅行の資金にするということはできなくなります。
振り込まれる年金の金額を半分にし、毎月その範囲内で生活を送るようにするのが理想ですが、その前段階として年金の支給が開始される前に家計簿をつけて毎月の無駄な支出や無理のない生活を送るのにいくらかかるかということを把握しておいたほうが良いでしょう。
そのうえで、自分が所持している貯金を、生活費の補充分、旅行や医療費などにあてる臨時出費分、貯金分に分割します。さらに生活費の補充分を年金受給開始の65歳から85歳までの20年で割り、さらにそれを12で割れば、生活費の補充分として毎月いくらまでなら使用しても大丈夫なのかがわかります。
この際に不要な資産は処分しておくのもいいと思います。このように年金受給の仕組みを知り事前準備をしておけば、老後の家計が急に赤字になる可能性がぐっと減ります。
最新更新日 2017.12.27