高齢者の就業理由には何があるの?

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もはや多数派!高齢者の就業事情

60歳以上を対象とした就労希望に関する内閣府調査の結果、収入を伴う仕事について「可能な限りはいつまでも続けたい」と回答した人の割合は28.9%、全体の1/4を優に超えることが明らかになりました。

65歳~80歳の各年齢まで働きたいと答えた人と合わせると、就労を希望するシニアは71.9%にのぼります。定年後、年金受給開始後も仕事を続けたいと思う、その動機は一体どのようなものなのでしょう。

自分のため? 生活のため? それぞれの働く理由

実に60%近くのシニアが健康維持を就業理由に掲げていおり、適度な緊張が心身によい影響を与えることは、経験から思い当たる人も多いのではないでしょうか。

仕事自体が生きがいとなる場合はもちろん、報酬のためと割り切っていても、労働を通じて他者と交流し、責任を全うすべく自分の体調や生活態度に注意を払うことは、暮らしにハリをもたらします。

都道府県別の平均寿命トップを誇る長野県が、高齢者就業率でも全国1位であり、なおかつ老人医療費は最下位に抑えられているという興味深いデータは、適度な労働が健康の秘訣である証左かもしれません。

シニアの就業理由として健康維持よりも若干上回っているのが、経済上の問題です。長引く不況や福祉の縮小傾向を受けて、体が動くうちは外で働いて収入を得たいと思うシニアが増加しています。

年金額に不安がある人、預貯金はあるがより厳しい社会情勢に生きていく子世代のため残したい人など、実態は単純ではありません。雇用形態については正社員よりもパート、アルバイトやフリーランスなど、自分の時間を確保できるスタイルが人気です。

長寿大国が目指すもの

日本人の平均寿命が延び続けている現状を受け、健康寿命という概念に注目が集まっています。健康寿命とは、心身ともに自立した生活を送れる期間のことをさします。WHOが発表した世界保健統計2016によると、日本の平均寿命は83.7歳、健康寿命の平均は74.9歳と、10年近い開きが見られます。

健康で主体的な人生を可能な限り長く送ることは、シニア世代当人と周囲の人々の大きな願いですが、福祉負担の軽減につながり国益にもかなうことは言をまちません。長野県の事例から見えてくる通り、健康寿命を維持・伸長していくためにも、高齢者の就労は非常に有効なのです。

老後も働き続けなければ生活できない国になりつつある面は、若い世代に失望や焦りを抱かせるかもしれません。しかし、仕事によって社会と関わり、生きがいを見出し、暮らしの糧を自分自身で手にすることは、本来尊い人間の営みです。

個々人の事情や能力に応じてその選択が尊重されたとき、老後の20年を超す長い長い時間は、より有意義なものとなるでしょう。

最新更新日 2018.03.05

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