シニアの再就職におすすめな資格、マンション管理士
拡大するマンションの需要
昨今、ニュースや新聞で、全国的に増加の一途をたどる「空き家問題」が取り上げられています。少子高齢化の波はもちろん、維持に負担の大きい一戸建て住宅が忌避される風潮や、人気のある地域への人口の集中化など、背景には住宅ニーズの変化が透けて見えます。
事実、国土交通省の調査によると全国のマンションの戸数はすでに600万戸を超えているのです。今回は、セカンドライフの可能性を広げる「マンション管理士」について取り上げていきます。
人気のマンション管理士とはどんな資格なのか?
マンション管理士という国家資格は、2001年に施行された「マンション管理適正化法」に基づいてスタートを切りました。名前から連想されるいわゆる「管理人さん」とは、その実態はかけ離れたものであることに注意が必要です。
弁護士や税理士などと同様、専門知識を有したアドバイザーとして、マンション管理組合や所有者の困りごとを解決に導くのが主な業務内容です。一般にマンション管理については素人の集まりである管理組合にアドバイスを出す、コンサルタント業務と考えて差し支えないでしょう。
具体的には管理組合の定期総会の議案書を点検する、コストとサービス両面において管理業者の業務内容が適切に行われているか精査する仕事などを担います。
マンション管理業務主任者との違い
よく似た名前の「管理業務主任者」は、管理組合に対して重要事項の説明を果たし、法的な書面の作成業務などを行います。マンション管理士との最大の違いは、管理業務主任者はマンション管理業者から委託され、その業務の一端を担う立場であることです。
両者にはマンションの管理業務に携わる、という共通点はあるものの、業務内容や雇用形態は大きく異なるのです。一方で、必要とされる知識の範囲は近く、資格試験の内容はかなり似通っています。
なおかつ、マンション管理士試験の方が思考力を精査される問題が多く、難易度が高いことから、同時に管理業務主任者資格取得を視野に入れる人も多いようです。
一般社団法人マンション管理業協会において通信教育や高齢者活用プロジェクトの取り組みが行われていますから、こちらも注目したい資格です。
実際にマンション管理士として働くには
マンション管理士になるためには毎年11月下旬に一度、各主要都市において国土交通省が行う資格試験に合格したのち、手続きに基づいて登録を済ませる必要があります。受験資格に制限はありません。
同じく不動産関連の強力な資格として人気を誇る宅地建物取引士、通称「宅建」と比較しても難易度は高く、合格率およそ8%の狭き門です。企業に属して働くという選択肢と、開業して管理組合と契約を結びコンサル業務にあたる選択肢があります。
難易度に反して独占業務を持たない資格であること、まだ歴史の浅い資格であるためデータが少ないながら、およそ300万~500万のあいだと見られる年収が、資格取得の労力に見合ったものであるのか疑問視する声もあります。
一方で、集合住宅の需要が高まる現状、マンション管理士の数は圧倒的に不足しており、再就職のカードとしては有利に働くものであることに変わりはありません。事実、他と比べてもシニア層の受験率の高い国家資格として知られています。
何より、長年不動産業に携わってきた人が、住民の声を直に聞き、経験と知識を活かして要望を満たす手助けができる点で、独立開業のマンション管理士ならではのやりがいが得られます。難関ながら、検討する余地と魅力のある、成長株の資格と言えるでしょう。
最新更新日 2018.01.12