高齢者の雇用形態にはどんな種類があるの?
60歳以上の雇用者の約70%が非正規職員・従業員
総務省が発表した「就業構造基本調査」(平成24年)によると、我が国における60歳以上の雇用者7,187千人で、そのうちの約30%にあたる2,221千人が正規職員・従業員、約70%にあたる4,965千人が非正規職員・従業員です。
非正規職員・従業員の内訳はパート32%、アルバイト10%、労働者派遣事業所の派遣社員2%、契約社員10%、嘱託10%、その他6%となっています。
雇用者として働く場合、このようにいくつかの雇用形態があり、会社や企業によって多少の違いはあるものの、それぞれ特徴があります。
まず、正社員(正規職員・従業員)ですが、特徴として挙げられることは賞与が支払われることや雇用が安定していることです。社会保険も完備されています。
ただし、就業規則に定められている時間は最低限勤務する必要があり、転勤や残業に応じる必要があります。有給休暇は勤続年数によって付与することが義務付けられていますが、職場や業務内容によっては取りづらいこともあるようです。
契約社員は正社員とは異なり契約で定められた時間だけ勤務すればよく、転勤や残業の有無も基本的には契約によって決められます。
有給休暇も6ヶ月以上勤務していれば正社員と同様に付与されます。賞与の有無は契約によりますが、社会保険は正社員と同様に完備されています。正社員よりも自由度が高いというメリットがありますが、雇用が不安定であるというデメリットもあります。
退職しなければ定年まで働くことができる正社員に対し、雇用期間に定めがあるのが契約社員です。その期間は原則として最長3年、高度な専門的知識を持つスペシャリストと60歳以上の場合は最長5年です。契約期間が終了した後、契約が更新されなければその後はその職場で働くことはできなくなります。
また、契約満了までは昇進・昇給が無く、法律上の義務が無い退職金も出ない会社がほとんどであるということもデメリットとして挙げられます。
企業にもよりますが、臨時社員・嘱託・非常勤などと呼ばれる雇用形態の多くが実際は有期雇用契約を結ぶ契約社員であるケースが多いようです。雇用の不安定さを解消するために、2013年に労働契約法が改正され、働いた期間が通算5年を超える場合は労働者が希望すれば雇用形態にかかわらず、期限を定めない無期契約に転換できるというルールになりました。
自分の目的やライフスタイルに合わせた働き方
パートやアルバイトの場合、勤務時間は自由で、転勤もありません。残業に応じるかどうかも本人の自由意志にゆだねられています。有給休暇は取得できないと思われがちですが、雇い入れの日から6ヶ月間継続して勤務しており、かつ全労働日の8割以上出勤しているという条件を満たせば取得することができます。
ただし、法律上では取得することが可能となっていますが、現実的には取りづらい場合も多いようです。賞与を支給するかどうかは事業主の判断ということになりますが、支給されないことが多く、社会保険については働く時間や期間によって異なります。雇用は有期雇用ですが、契約社員と同じく勤務年数が通算5年を超えた場合は無期契約に転換することが可能です。
ちなみに、パートとアルバイトは法的な面では違いはありません。店や会社によっては高校生や大学生などの学生をアルバイト、主婦をパートといったように区別しているようです。
派遣労働者は派遣元の企業との契約に合わせて、派遣先の企業で働く従業員のことです。労働契約は派遣元の企業と締結されるので、業務内容や勤務時間、転勤・残業の有無等については派遣元の企業との契約で決定されます。
しかし、実際にこれらの管理を行うのは職場である派遣先の企業となるので、ある程度は派遣先の事情に合わせる必要が出てきます。
また、特定の仕事、役職を人に任せることを委嘱と呼びますが、委嘱を行う際は締結する契約の内容によって委嘱契約になるか雇用契約になるかに分かれます。
一般的には支払いを給与と報酬のどちらにするか、依頼する側との指揮命令関係があるか、依頼を拒否する自由があるか、時間や場所の拘束があるかなどの事情から判断されます。雇用契約となる場合は当然ながら雇用先の就業規則に沿った勤務を行い、諸手当、有給休暇の付与も発生します。社会保険にも場合によっては加入しなければならなくなります。
このように一口に働くと言ってもその働き方は様々です。雇用形態にかかわらず年収が103万円、130万円、141万円を超えるごとに扶養や控除に関係する条件が変化するので、このことも含めて各雇用形態の特徴や違いを理解し、自分の目的やライフスタイルに合わせた働き方を選択するのがいいでしょう。
最新更新日 2018.03.30