無料で受講できる!再就職におすすめな「職業能力開発校」
「手に職」をつけて再就職を
転職や再就職の切り札となるのは学歴よりも職歴、資格を含めた専門知識や技能です。特にシニア世代が再就職活動を始めるなら、「手に職」があれば心強いのは当然のことと言えるでしょう。そこでぜひ知っておきたいのが「職業能力開発校」の存在です。
職業能力開発校とは、都道府県や認定を受けた民間の事業主が運営する、職業訓練のための施設です。ハローワーク経由で申し込むことができ、一部の学科を除いて入校の制限はありません。
全国160校を超える職業能力開発校は都道府県ごとに、職業訓練校、技術校、センター、学院、スクールなど異なる名称がつけられています。インターネットで検索する際に、まずはお住まいの都道府県の労働局にアクセスすると分かりやすいでしょう。
「学歴」ではなく、「職歴」を得る講習
ここで注意したいのは、職業能力開発校は学校教育法が定めた、いわゆる「学校」ではない点です。
全国に10校を数える「職業能力開発大学校」もそれは同様で、修了により文部科学省管轄の大学への編入が認められるなど、学歴面への好影響はありません。ここでの講習は学歴ではなく職歴としてプラスされるのです。雇用の際には給与や待遇が短期大学卒業者相当として扱われる傾向にあります。
ちなみに、非常に混同されやすいのが「職業能力開発総合大学校」。日本の職業訓練の中核にして特例、職業大とも呼ばれる同校では、4年制の総合課程を修了することで学位が授与されます。
これらの豆知識をふまえたうえで、シニアにも役立つ職業能力開発校について見ていきましょう。
建築・設備関係からビル管理、接客サービスなど、シニア向けのカリキュラムも充実
能力開発校や教育カリキュラムは、おおまかに雇用保険を受給できる人のための「公共職業訓練」と、それ以外の人のための「求職者支援訓練」に分かれます。条件を満たしていなくても受講できるケースもありますから、職員と個別に相談して方針を決めましょう。
若年層限定のコースがある一方で、高齢者向けの職業訓練も行われています。一例として、東京都の職業能力開発センターの高年齢者科目を挙げていきます。
庭園施工管理やビル管理、設備保全について身につける建築・造園関係、そして電気設備管理と電気設備保全を学ぶ電気関係など、一般的な職業訓練のイメージに近い技術職の講習をシニアでも受けることが可能です。
マンション維持管理科、施設警備科、クリーンスタッフ養成科は高齢者向けならではのカリキュラム。関連資格も取得でき、講座を通じて総合的に実務を理解できるでしょう。それぞれ修了後はマンションの管理人、さまざまな場所での警備活動、清掃とメンテナンスのプロフェッショナルとして活躍が見込めます。
接客業の実践的な知識を習得できるホテル・レストランサービス科、家事代行と基本的な介護の知識を教わる生活支援サービス科といった意外なコースも開設されており、幅広い興味・適性に対応していることが分かります。
しかも、ここに挙げた科目はすべて授業料無料です。のみならず、収入や資産に乏しい人には月10万円の受講手当と交通費が支給されるという制度もあります。ハローワークと訓練校の手厚い指導を受けながら、生活の再設計をはかれるわけです。
遠回り?それとも投資?
シニア向けの職業訓練は費用負担こそ少ないものの、おおよそ2カ月~6カ月間の通所を必要とし、座学と実習の両方を修めなければなりません。
しかし、現場ですぐに役立つ技能を習得し、就職に関してもより多くの情報が得られる職業能力開発校での時間は、決して無駄にはならないはずです。長く元気に働き続けるための投資として、公的な職業訓練を上手に活用しましょう。
最新更新日 2018.05.08