高就職率の資格!言語聴覚士になるには?
言語、聴覚、嚥下に障がいを抱える人をサポート
現在、日本には言葉に対して何らかの障がいを抱える人が約650万人いると言われています。障がいの内容は、うまく話せない、話が理解できない、文字が読めないなど言語に関するものから、声帯を使いにくい、声が出しにくいといった音声障がいなど様々ですが、これらの障がいを持つ患者のリハビリを行うのが言語聴覚士という職業です。
「Speech-Language-Hearing Therapist」略して「ST」と呼ばれるこの資格は、1999年に誕生した国家資格です。同じリハビリ形の国家資格として、「理学療法士」(PT)と「作業療法士」(OT)がありますが、座る・立つといった身体の基本的な動作の機能回復をサポートするのが理学療法士、料理や掃除など日常生活を送るうえで必要な複合的動作を可能とする訓練を行うのが作業療法士であるのに対し、言語聴覚士が主にサポートするのは「話す」、「聞く」に関する障がいです。さらに、うまく飲み込めない、うまく嚙めないといった嚥下に問題を抱える人の支援も行います。
障がいの原因は脳卒中、脳梗塞、喉頭がん等様々で、中には生まれつき障がいを抱えているケースもあります。言語聴覚士の仕事内容は障がいの原因を探り、その度合いを評価し、訓練メニューを作成、指導することで症状の改善を図っていくことです。
有資格者の約7割が医療機関に所属
活躍の場は医療機関をはじめ、保健施設、福祉施設、小児施設から、小中学校・大学のような教育機関まで多岐にわたり、有資格者の約7割が医療機関に所属しています。
現在、日本には約2万5000人の言語聴覚士がいますが患者数を考えると数は少なく、就職率はほぼ100%、圧倒的な売り手市場となっています。
年収は勤務先によって違いがありますが、在宅医療のニーズ増大に伴い、活躍の場が拡大することも予想されているので、再就職や転職を考えているシニアにもおすすめできる職業です。
試験を受けるために、学校で学ぶ必要があります
言語聴覚士になるためには、年1回実施される資格試験に合格しなければなりません。そして、この試験を受けるためには条件があります。
その条件とは、高校卒業者の場合、文部科学大臣が指定する3~4年制の大学・短大もしくは都道府県知事が指定する言語聴覚士養成所(3~4年制の専修学校)を卒業することです。通常の4年制大学卒業者は、指定された大学・大学院の専攻科または2年制の専修学校を卒業することです。
この他にも、言語聴覚士の養成に関わる一定基準の科目をすでに習得していたり、海外で言語聴覚士に関する学業を修めたりした人のために別のルートも用意されています。
養成校(専修学校・大学)では、医学的な知識に加え、心理学、認知科学、言語学、音声学などを幅広く学び、臨床実習や国家試験対策も行われます。
試験は筆記。気になる難易度と合格率は?
試験は5肢択一式の筆記試験で、年齢に関係なく受験することができます。全200問(平成28年度は199問)中、120点以上(配点は1問1点)取れば合格です。試験範囲は広いのですが、養成校でしっかり学び、過去問とテキストで対策をとれば合格できる難易度です。合格率は年によってばらつきがありますが、7割前後で推移しています。
働きながら夜間コースの養成所に通うのもあり。
通信教育や独学のみで取得できる他の資格と違い、養成校に通って専門的な教育を受けなければならないので、取得するのは簡単ではありませんが、夜間コースの養成校もあるので働きながら通い取得を目指すことも可能です。
最新更新日 2018.08.17