映画『さらば愛しきアウトロー』はロバート・レッドフォードの引退作品。実在した伝説の強盗を熱演
ロバート・レッドフォードと言えば往年の大スター!『明日に向かって撃て!』(1969年)『スティング』(1973年)など、みなさんもご存知なのではないでしょうか。その彼が俳優業を引退すると発表。最後の作品に選んだのが『さらば愛しきアウトロー』なのです。
物語
フォレスト(ロバート・レッドフォード)はやり手の銀行強盗。決して人を傷つけることなく、大金を盗むテクニックを持っていました。ある日、いつもと同じように銀行で大金を奪って逃げる途中、フォレストはジュエル(シシー・スペイセク)という女性に出会い、彼女に心惹かれていきます。ジュエルも彼に興味を抱き、自然と距離を縮めていく二人……。ところが、フォレストを追いかけるハント刑事(ケイシー・アフレック)は、巷で「黄昏ギャング」と呼ばれて大々的にメディアで取り上げられているフォレストに対し、テレビのニュースを通して「俺が彼に手錠をかけたい」と宣言するのです。
決して人を傷つけない世界一スマートな強盗
銀行強盗と言えば、「手を上げろ!」と銃を振り回して脅す姿を想像しますが、フォレストの銀行強盗シーンは乱暴な言葉も行動もゼロ。目の前の銀行員にだけ見えるように上着からチラリと銃を見せ、にこやかに「バッグにお金を入れてくれる?」と言うのです。銀行員がお金を詰め終わったら、バッグを受け取って銀行をササーと出てしまう。もちろん通報はされますが、警察が来たとき、すでにフォレスの姿はありません。なんてスマートな強盗なんでしょう! 強盗について聞かれた銀行員が思わず「すごく紳士でした」というのもわかります。
強盗仲間3人と最後の青春を謳歌!?
とんとん拍子に強盗がうまくいくので「いや、こんなにうまくいくわけないよ」と思う人もいるかもしれませんが、これは実話。ただ80年代の話なので、情報網が発達した今だったら無理ですね。あの時代だったからこそ、フォレストは「2年で93件の強盗を成功」なんて大それたことができたのでしょう。共に強盗稼業を行っていたのは、テディ(ダニー・グローバー)とウォラー(トム・ウェイツ)という仲間。誰にも縛られずにやりたいことをやっている3人は、最後の青春を楽しんでいるかのように見えました。
80代でもまだまだ現役! ラブストーリーもイケる色気
加えて、強盗から逃げる途中で出会った女性、ジュエルと恋に落ちるフォレスト。この恋愛エピソードを観て「レッドフォードはまだまだおじいちゃんじゃない!」と確信しました。ちゃんと男の色気が醸し出されているんです。彼女にネックレスをプレゼントするシーンはかわいいし、見つめ合うシーンはドキドキさせるし……。若い人のようなギラギラ感はなく、落ち着きがあって、ゆったりと会話を楽しみながら進行するシニアの恋っていいなとうらやましくなりました。
フォレストの生き様と重なるレッドフォードのスター人生
レッドフォードはフォレスト・タッカーという強盗を知ったとき「このキャラクターは私が演じるのにピッタリだ」と確信したと語っています。
「強盗でありながら、誰も死に至らしめることがなかったというフォレストのアプローチは学びが多かったね。彼は強盗からいつでも足を洗うことができる状況にあった。でも、簡単な仕事では物足りない。もっと大きなやりがいのある仕事を求めてしまうんだ」
若い頃からスター街道を歩んできたレッドフォード。ラブストーリーに出演したり、社会派ドラマに出たり、監督作でアカデミー賞を受賞したり、ファンの予想の上をいく活躍をしながら、決して歩みを止めずに突っ走ってきた彼の生き様とフォレストの生き様が重なります。そう考えると、レッドフォードがフォレスト・タッカー役を最後の主演作に選んだのもなんとなくわかろうというもの。
この映画を観てつくづく思いました。やはりロバート・レッドフォードはスター!最後までスマートでかっこいい。 その素敵な姿をぜひスクリーンで観てください。
映画『さらば愛しきアウトロー』
公開日
2019年7月12日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
スタッフ・キャスト
監督&脚本:デヴィッド・ロウリー
出演:ロバート・レッドフォード、ケイシー・アフレック、ダニー・グローヴァー、チカ・サンプター、トム・ウェイツ、シシー・スペイセク
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